
"SINGLE-ORIGIN OFFERS"
Top Specialty / Light Roast
Huehuetenango, Guatemala
El Injerto Natural
生産国:Guatemala
エリア:Huehuetenango
農園名:El Injerto
標高:1,530-1,600m
品種:Catuai
精製処理:Natural
Cupping Comments:
Lively, Floral, Osmanthus, Complex, Baked Apple, Apricot Jam, Raison,
Mandarin Orange, Red Wine, Honey, Smooth MF, Sweet Long After
評価:Top Specialty
本ロットの仕上げは「浅煎り」となります。
農園と生産者について
中米グァテマラはいくつかに区分されたエリアによってブランディングがされており、軽やかでエレガントなカップを特徴とするアンティグア、対して力強く個性に溢れた傾向のあるウェウェテナンゴは有名であり、同国を代表する生産地として知られています。
ウェウェテナンゴ地区、エル・インヘルト。
シエロが扱う単一農園ものとして、おそらくここが最も名の知れた存在であるでしょう。彼らは一国を、中米を、にとどまらず、スペシャルティコーヒーそのものを代表する存在の一角という表現をして全く過大ではありません。
その品質、ウェウェテナンゴの代名詞と表現して差し支えないテロワールの発現もさることながら、毎年ピーク時には800人もの雇用を生み出す企業体としての貢献度などその功績は列挙にキリがありません。
現在もドン・アギーレことアルトゥーロ・アギーレ氏のもと農園〜精製設備は常に改善を続けており、肥料の研究と最適化、収穫されたチェリーのための設備、精製の発酵層の構造変更によるクリーンカップ向上、選別・検品スタッフの長期育成、水力発電の導入でディーゼルを廃したことによる汚染対策、もはや局地的オフグリッドと言える領域まで高められた取り組みの数々は、世界中の生産者たちのお手本であり、夢の姿でもあります。
高い品質にコミットし、関わる人すべてを幸せにし、環境と未来に貢献する。
それがスペシャルティコーヒーの志す、実行している理念です。
ここでいう「関わる人」ですが、そのコーヒーを飲む私たちはもろんその重要な一員です。
品種と精製処理について
アラビカ系コーヒーのうち、最初に区分された単一種がティピカ。次いでティピカから突然変異で生まれたのがブルボン。
ブルボンからの突然変異でカトゥーラが誕生し、ティピカとブルボンよりの交配種がムンド・ノーボ。カトゥーラとムンド・ノーボの交配でできたのがカトゥアイです。
エル・インヘルト農園ではカトゥーラ、カトゥアイなどのほかエレファントビーンと呼ばれるパカマラも少量生産しており、これは「パンドラ」の名を冠し大変な高価格で取引されています。
今回のロットを形成したカトゥアイ種は農園の中央にある「マグノリア・エリア」によるもので、この区画では主にトラディショナルな品種・生産方法を大切にした取り組みが行われています。カトゥアイ自体がそれほど際立った、言い換えれば奇抜な特徴を持つものではなく本質的な品質の高さ、環境の良さ、丁寧な仕事ぶりを反映したクリーンカップと、ウェウェテナンゴらしい力強くリッチなテロワールを楽しんでいただけるものとお考えいただければよいかと思います。
広大で仕事量も大きな、そしてひとつひとつの工程にしっかりとした投資をしているエル・インヘルトですが、その苗木1本1本の生育チェックには全て農園主、ドン・アギーレその人が出向いて回るそうです。コーヒーの木の栽培にはカットバックと呼ばれる剪定作業が重要な役割を持ちますが、その工程も画一的ではなく、100万本を超える個体それぞれに合わせた最適化が行われます。
また前述のように脱ディーゼルのエネルギー環境を実現したことにより、エル・インヘルトは空気環境においても一段のブラッシュアップを遂げています。農園の空気環境は想像以上に品質への影響力を持ち、土埃の立つ道路付近ではスペシャルティコーヒーの栽培は行わない、としている生産者も度々いるほどです。
精製について、 エル・インヘルトのメインコンテンツは独自の発酵層を生かした水洗式精製ですが、今回初めての試みとしてナチュラル精製を入荷しました。
選別を担当する人々は収穫シーズンになると農園近隣のコミュニティのみから集められ、その高い対価からまた翌年、その翌年と同じメンバーが作業所に戻り、彼らはハイレベルな経験を蓄積して人的資産としての成長を遂げています。
そのチェリーの熟度の高さは焙煎をしているときからはっきりと分かるほどで、ひとつひとつ全ての工程において「ヒト・モノ・カネ」が惜しみなく投じられたコーヒーからは「これは別格である」という印象を、そのカッピングから明瞭に持つことができました。
コーヒーの印象について
生産者の規模と、過去〜未来に向け投資と計画性に基づいた経営によるものなのか
正直わかりませんが、本当にこの金額で間違っていないのか、自分も何度も確認しました。
(エル・インヘルトのコーヒーは、一部のロットの希少性から法外な単価がつくことがあります。ただ今回はそれを論外において、単純にこれほどのクオリティがこの値段でいいのか?という疑問でした。もちろん良い意味で。)
林檎のような酸。そこには爽やかなグリーンアップルと甘いレッドアップル、さらに加熱調理を受けた紅玉のような要素が入り混じります。
さらにストーンフルーツ、甘さに極めて特化しており表現に迷いましたが、個人的にはアプリコットジャムに暗喩するのがよいかと思いました。 プラムが熟した姿と似て非なるマッピングですが、後者のような発酵感ではなくあくまでフレッシュなフルーツの印象というのが特徴のひとつです。
また一貫してフローラルな印象もあり、これもめずらしい表現になりますがシエロとしては金木犀という例えがしっくりきました。
複雑なフレーバーを多数持ち、これだけの甘さと重厚な力強さを備えながらそれを明瞭に際立たせ、しかも液質はさらっとしている。それはクリーンカップの高さ、農園のひとつひとつの慎ましやかな仕事の積み重ねが宿した結果です。
スペシャルティコーヒーの基本スペックと言いたい点ですが、いわゆる雑味は徹底的に原因から排除されています。恐れず高い湯温で抽出し、できれば少し冷ましてからお召し上がりください。いちロースターとして、また消費者としても、今年もまた皆さんとエル・インヘルトを楽しめることを幸せに思います。
b2b取引(飲食店、オフィス、シェアスペースなどの仕入れ)をご希望の方は上記「 CONTACT / E-mail ▶︎」よりご相談ください。