"SINGLE-ORIGIN OFFERS"
Top Specialty / Light Roast
Cauca, Colombia
Santuario "Black Lime Honey"
生産国:Colombia
エリア:Cauca
農園名:Santuario
標高:1,850-2,100m
品種:Bourbon
精製処理:Culturing & Black Honey
Cupping Comments:
Marmalade, Grapefruit, Lime, Valencia Orange, Vergamot, Honey,
Brown Sugar, Round MF, Bright, Well Balanced, Complex, Improve
評価:Top Specialty
本ロットの仕上げは「浅煎り」となります。
農園と生産者について
コロンビアのコーヒーでよく語られる「マイルド」という表現。これは世界的にも大規模な生産地である太平洋寄りのナリーニョが確立した評価となります。ここでご紹介するカウカ、そして高名なウィラはナリーニョとは全く異なるテロワールの生産者を擁し、同国のスペシャルティコーヒーにおいて希少ながら主役の座につく存在です。
サンチュアリオ農園はカウカの高地、その斜面に位置し、一貫してスペシャルティコーヒーの生産に特化した仕事をしています。
1999年の設立以降、彼ら(ことオーナーのカミーロ)はその生産環境、品種や栽培方法など様々なデータから仮説を組み、検証し、新しい試みにも積極的にチャレンジを繰り返す生産者として実績を積み上げてきました。
後述のブラックライムハニーは今でこそ「カルチャリング」として認知されるようになった精製のひとつの形ですが、遅くとも3年前、カルチャリングもインフュージョンもアナエロビコもほとんど認知されていなかった段階でこの精製は確立され、シエロもこの銘柄を提供していました。
革新的でありながら、ともすれば加工に歯止めが効かなくなる「邪道」の要素も併せ持つ、近年の新しい精製の数々。ではどれが正統派と認められて、何をしたら邪道なのか。そういった言葉のカテゴライズに縛られるのではなく、「そういった手法を誤魔化しでなく、ただ洗練のために採用した」美意識を舌で見極め、正しくシンクロして消費者の皆さんにお届けしたいとシエロは考えています。
真摯な仕事と、審美眼という実力を持って。カミーロもきっと同じでしょう。
品種と精製処理について
本ロットを形成する品種は、アラビカ原種に非常に近いブルボン。資料にはレッドブルボン、つまり最も歴史のある基本的な品種ですが、同じ名で見慣れたそれとはやや大粒に感じる点で少し異なります。個人的な見解ですが、サイズも含め、その見た目からはカトゥーラ(ブルボンからの突然変異種)に近い特徴も見受けられます。
現代のブルボンはレッド、イエロー、オレンジ、ピンクと多岐に渡り 、そのチェリーの色からくる呼称だけでなく風味特性も全く異なるものが現れるなど、もはや名前が形骸化するほどに多様性と魅力が見られるようになりました。
ブラックライムハニー。
その名は農園主カミーロによって与えられたもので、このロットの特別な精製を端的に表しています。
彼らは「モスト・ジュース」と呼びますが、コーヒーチェリーから中身のパーチメント(コーヒー豆と内果皮)を取り出した、その果肉から搾られた果汁。これを温度・酸度を一定にしたものにパーチメント自体も漬け込み、その成分と一体化させながら3日間の発酵を行うのがプロセス最大の特徴となります。
この「パーチメントを別のものと漬け込む」工程をカルチャリングと呼びます。
現在、カルチャリングやインフュージョン(厳密には異なるものですが)というと様々なフルーツを用いるものが主流となっています。乱暴な言い方をすると「異物混入」ですが、本来は気候変動で品質にリスクを抱えてしまった生産者を救う工夫であったり、或いはコンテストシーンで目立たせるためだけであったカルチャリングと、ブラックライムハニーの工程の一部が一致したのは恐らく偶然だったのでは考えてしまうのです。
ひとつ明確にしておきたいのは、ブラックライムハニーで使用される副材料は生豆と同様、彼ら自身が育てたコーヒーチェリーの一部であるということです。
なおブラックライムハニーにおいて、このカルチャリング(のような)工程は最大の特徴でありながら、「予備醗酵の2段階目」でしかありません。まず糖度選別を受けたチェリーは果肉のまま5日間の無酸素発酵(アナエロビック・ファーメンテーション)で基本的な成分のコントロールを受け、チェリーとパーチメントに分かれたのち前述の工程を経て、最後は3週間に及ぶ超スロードライへと進みます。この工程の本質は、完璧なコントロールを狂気のレベルまで求めたブラックハニー精製であると言えます。
コーヒーの印象について
正統派であるのか、邪道なのか。
その概念に頼って向き合うことが、生産者が全力を投じたスペシャルティコーヒーの前ではナンセンスであると、ことこのケースでは強くお伝えしたいと思います。
それはシエロ自身が、インフュージョンやチャネリング、アナエロビコといった厚化粧をまとう、基本的なクオリティの欠如したコーヒーの横行にひどく危機感・嫌悪感を感じているからでもあります。特殊精製が出回りはじめた過渡期にあって、大切なのは情報や概念ではなく、絶対的なクオリティと、舌と審美眼です。
マーマレードのような甘い酸とキリッとした渋み、上品な質感、その名の通り存在感を示すライムの印象、フローラル&シトリックがここまで極まるのかというひとつの世界を楽しんでいただけたら幸いです。焙煎においても、グラインダーの設定で味の追い込みができるよう少しいつもより手を入れてあります。
フィルターコーヒーからエスプレッソビバレッジまで、また浅煎りとしては異例なレベルでフードペアリングにも長けた存在です。
皆さんそれぞれのカタチで、このちょっと特別なコーヒーとの時間を過ごしてくださいね。
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