Huila "Dream-Collab" Pink Bourbon
こんにちは、いつもありがとうございます。
長らくSNS発信ばかりでブログから離れていましたが、新たな装いで再開させていただきます。
またよろしくお願いいたします。
さて、表題のピンクブルボン。
アラビカ系のコーヒー品種はその名の通りアラビア半島周りを流通の起源に持ち、そこから世界に植樹されていった純種がティピカとされています。まさに「Typical Arabica」。
ブルボンはティピカから早い時期に発生した突然変異種のひとつで、その誕生の地であるレユニオンという島の別称をとって名付けられたもの。その後ティピカと再度交配を受けたり、それぞれ突然変異種が派生したり、或いはアフリカを主な舞台にSL系と呼ばれるハイブリッド種(アラビカとカネフォラ=ロブスタを交配、改良したもの)で病気耐性を与えられたり、各々複雑な歴史を刻んでいきます。
ピンクブルボンは、2019年の出荷から突然市場に姿を現した新種。
シエロとしては、同年コロンビアのウィラ県より入荷した「Alto del Obispo」ロットで初めて手掛けることとなりました。
ブルボンの名を持ちますが、その姿は同種系統の小ぶりな印象とは離れて、ティピカの、それもよりエチオピア原種に近い大きなスクリーンのややロングベリーを感じさせるものでした。当時の焙煎機からクーリングトレイに排出されたビジュアルと立ち昇る香りから、「間違えてゲイシャを焙煎した」と思い込んで生豆倉庫をチェックしに行った記憶があります。
後からの情報で知ったことですが、このピンクブルボンという新種、生物学上の解析では上記ゲイシャ、つまりエチオピア原種の一端であり紆余曲折からコスタリカCATIEに根付き、その後パナマを舞台にビッグウェーブを起こしたあの品種に限りなく一致するそうです。
香りが、と書きましたが確かにその風味特性はゲイシャの個性をも併せ持つと感じられます。
今回「Dream-Collab」、夢のコラボレーションと銘打ったピンクブルボン。
ウィラの Las Flores、El Diviso という国際品評会COEでも受賞の常連として知られる農園同士の共同プロジェクトで、前者が水洗式、後者がホワイトハニー精製でそれぞれ独自のプレファーメンテーションを採り入れた創意に満ちたもの。
近隣農園を束ねた精製施設によるものや、或いは農協、ときにエクスポーター主導などの集積ロットは頻繁に目にしますが、こういった言わば「作家本人同士が組んだ」ものは知る限り例のないものだと思います。
シエロとしては、El Diviso 農園に対し特別な思いがあります。
COE Colombia 2019 受賞ロットで入手した同農園のブルボンFW精製、そのクオリティは度肝を抜くもので、同時に入庫したゲイシャをすら遥か圧倒していました。その後ウィラという特別な産地のテロワールに理解を深め、いつしかそれが自身にとって最愛の産地となり、ロースターとして環境も技術的にも成熟に向かった2022年末、再びこの農園のロットに巡り合うことができました。
「Dream-Collab」そのカッピング評価は近年で最高値をマークし、等級としては初めて「Top of Top」を表記してリリース。新年のはじまりに、シエロとしてはこの上ない銘柄で、特別な思いをのせて送り出すコーヒーとなりました。
1月末までは THE MONTHLY 限定商品として。
その後、どういった販売形態になるかはまだ考えていませんが、このロットの麻袋での入荷が決定しています。
この素晴らしい銘柄が、シエロの成長のマイルストーンになると直感しています。
生産者に、流通に関わる方々に、そして消費者としてこの体験を共有してくださる皆さんに、感謝と愛情を込めて。それらをひとつなぎにするバトン=ロースターとして、今できるベストを表現していきます。